令和6年度税制改正

1 法人税
(1)賃上げ促進税制の強化                                                      中小企業については、賃上げを実施した年度に控除しきれなかった場合、5年間の繰越しが可能となります。                                                  令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度となりました。

(2)中小企業倒産防止共済事業に係る措置                                 中小企業倒産防止共済法の共済契約の解約があった後同法の共済契約を締結した場合には、その解約の日から同日以後2年を経過する日までに支出する当該共済契約に係る掛金については、損金算入の適用が出来ないこととなりました。

2 所得税
(1)定額減税                                                    納税者及び配偶者を含めた扶養親族1人つき、所得税3万円が控除されます。

(2)子育て特例対象個人が認定住宅等の新築等をした場合、借入限度額が拡大されます。床面積については、合計所得金額が1000万円以下の場合の床面積が40㎡に緩和されます。                                                                                                         令和6年1月1日から令和6年12月31日までに居住の用に供した場合に適用されます。

3 納税環境の整備
更正の請求に係る隠蔽・仮装行為を未然に防止する観点から、隠蔽・仮装したところに基づき「更正の請求書」を提出した場合、重加算税が賦課されることとなりました。                                                                                                                                                      令和7年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税に適用されます。


令和5年度税制改正

 

1 法人税
防衛財源                                                            法人税率は変えず、法人税額から所得が2400万円相当の税額を控除をしたうえで、4~4.5%の「付加税」を上乗せします。                                                  令和6年以降の適切な時期に増税となります。

2 所得税
(1)防衛財源                                                    所得税額に当分の間、1%の新たな「付加税」を導入します。復興特別所得税を1%引き下げ、課税期間を延長します。                                                       令和6年以降の適切な時期に増税となります。

(2)NISA(運用益の非課税措置)の拡大                                                    NISAについては、年間の投資上限度額及び生涯の投資上限額が拡大します。                                                       令和6年1月から適用されます。

(3)個人事業者の「届出書」の提出期限の設定                                                  「開業・廃業等届出書」「青色申告の取りやめ届出書」については、提出期限をその年の確定申告書の提出期限とします。                                                       令和8年1月1日以降、令和8年分以降から適用されます。

(4)源泉徴収票の提出方法の見直し                                                    給与等の支払をする者が、市区町村の長に給与支払報告書を提出した場合には、税務署長に給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなします。                                                       令和9年1月1日以後提出分に適用されます。

3 資産税
(1)生前贈与加算税制度の見直し                                                    暦年贈与により生前に贈与を受けていた財産について、相続時に加算される贈与期間が3年間から相続前7年間に延長されます。ただし、延長した4年間の贈与について総額100万円までは相続財産に加算しません。期間の延長は令和9年以降の相続から令和6年1月1日以降が対象となります。令和13年1月1日以降は加算期間が7年となります。

(2)相続時精算課税制度の毎年110万円の基礎控除の創設                                                    相続時精算課税制度により行われた贈与について、課税価格から毎年110万円の基礎控除が出来るようになります。贈与が110万円以下の場合は、贈与税の申告はは不要となります。                                                       令和6年1月1日以後から適用されます。

(3)相続時精算課税制度による贈与財産が災害により被害を受けた場合の再計算                                                   相続税において計算される金額は、贈与財産の価格から災害をを受けた金額を控除した金額とします。                                                       令和6年1月1日以後から適用されます。

4 消費税
(1)仕入税額控除が認められる少額取引                                                    令和5年10月1日~令和8年9月30日までは、消費税から控除する金額を売上に係る消費税額の8割とすることができます。適用する場合は、申告書にその旨を付記します。

(2)仕入税額控除が認められる少額取引                                                    令和5年10月1日~令和11年9月30日までは、基準期間における売上高が1億円以下の場合、1万円未満の取引については、帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められます。

 


令和4年度税制改正

1 法人税                                                                                 中小企業者等の給与等の支給額が増加した場合の特別控除                                                                  雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が1、5%以上である場合に、雇用者給与等支給額の対前年度増加額の15%の税額控除を行うとともに、税額控除の上乗せ措置として、雇用者給与等支給額の対前年度増加割合が2、5%以上である場合には、税額控除率に15%を加算する。税額控除額は、法人税額の20%が限度です。
令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する事業年度に適用されます。

2 所得税
(1)住宅ローン控除制度の見直し                                                                      適用期限を4年間延長し、令和4年から令和7年末までの入居者を対象とします。借入限度額については、一般住宅、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅に区分されます。控除率は、0、7%と引き下げられ、所得要件は、2,000万円以下となります。中古住宅については、借入限度額は一般住宅が2,000万円、認定住宅等が3,000万円、控除期間は10年間となります。所得税から控除しきれなかった額は、控除限度額の範囲(最高9.75万円)で個人住民税からも控除できます。

(2)住宅ローン控除の適用除外
令和6年1月1日以降建築確認を受ける住宅の用に供する家屋で、登記簿上の建築日付が令和6年7月1日以降のもののうち、一定の省エネ基準を満たさないものの新築又は当該家屋で建築後使用されたことのないものの取得については、控除の適用がありません。

(3)既存住宅の要件変更
既存住宅については、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋とみなす。)とします。令和4年1月1日以降居住の用に供したものから適用されます。

(4)住宅借入金等を有する場合の所得税の特別控除に係る確定申告手続等の措置
令和5年1月1日以後に居住の用に供する家屋について、住宅ローン控除の適用を受けようとする個人は、住宅借入金等を有する債権者に対して「住宅ローン控除申告書」を提出しなければなりません。また、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書及び新築の工事請負契約書の写し等については、確定申告書への添付は不要となります。年末調整に際しては、年末残高証明書については、特別控除申告書への添付は不要となります。

(5)上場株式等の配当所得に係る課税方式
上場株式等の配当所得に係る課税方式については、所得税と個人住民税が一致されますので、住民税のみの申告はできなくなります。令和6年度分以後の個人住民税について適用されます。

3 資産課税
(1)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・見直し
適用期限を2年延長し、令和5年12月31日までとなります。非課税限度額については、耐震・省エネバリアフリー住宅については、1,000万円、その他の住宅については500万円となります。既存住宅については、築年数要件が廃止され、登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、要件に該当するとみなされます。年齢要件が18歳以上となります。令和4年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得資金に適用されます。

(2)事業承継税制
特例措置を受けるための特例承認の提出が令和6年3月31日まで延長されます。

4 消費税
(1)適格請求書発行事業者の登録
免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、その登録日から適格請求書発行事業者となることができます。

(2)棚卸資産の調整                                                                            適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入に係る税額控除に関する経過措置の適用対象となる棚卸資産については、その棚卸資産に係る消費税額の全部が納税義務の免除を受けないこととなった場合の棚卸資産に係る消費税額となります。

5 納税環境整備
(1)財産債務調書制度の追加、期限延長
提出義務者に、総資産額10億円以上(所得制なし)を有する居住者が追加されました。提出期限は、翌年6月30日となります。令和5年分以後の財産債務調書から適用されます。

(2)電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行                                                        電磁的記録の保存制度については、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、電磁的記録の出力書面等よる保存を可能とする措置が講じられます。


適格請求書に係る法令

〇 適格請求書発行事業者
第2条7の2
第57条2第1項の規定による登録を受けた事業者

〇 適格請求書発行事業者の登録等
第57条の2
第57条4第1項に規定する適格請求書の交付を受けようと事業者は、税務署長の登録を受けることができる。税務署長は、登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない。

〇 適格請求書発行事業者の義務
第57条の4
適格請求書発行事業者は、譲渡等を受ける他の事業者から次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(「適格請求書」という。)の交付を求められたときは、他の事業者に交付しなければならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。
1 事業者の氏名又は名称及び登録番号                                                                     2 譲渡等を行った年月日                                                                                 3 譲渡等に係る資産又は役務の内容                                                                      4 譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率                                                                                                                        5 消費税額等                                                                                6 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

〇 適格請求書を交付することが困難な課税資産の譲渡等囲
令第79条の9第2項                                                                            1 税込価額が3万円未満の旅客の運送
2 卸売市場において行われる譲渡等                                                                     3 財務省令で定めるもの

〇 財務省令
規第26条の6                                                                                1 自動販売機等により行われる税込価額が3万円未満のもの
2 郵便法に規定する郵便の役務及び貨物の運送

〇 帳簿等の記載で仕入税額控除が認められる規定                                                                                                   令第49条                                                                                                  


令和3年度税制改正

1 法人税
(1)中小企業者等の法人税の軽減税率の延長
中小企業者の法人税率は、適用期限が2年間延長されます。

(2)所得拡大促進税制の見直し・延長
要件が、給与支給総額の(企業全体の給与)が前年度比で1.5%以上と簡素化されました。

2 所得税
(1)住宅ローン控除の特例の延長等
控除期間13年の特例の適用期限を延長し、令和4年末までの入居者を対象とします。延長した部分にに限り、合計所得金額1,000万円以下の者について面積要件が40㎡以上に緩和されます。

(2)退職所得課税の適性化
勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金についても、雇用の流動化等に配慮し、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について2分の1課税を適用しない。

3 資産課税
(1)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充
非課税枠を令和3年末まで据え置き、面積要件については、住宅ローン控除と同様とします。

(2)教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し
受贈者が贈与者の孫等である場合の贈与者死亡時の残高に係る相続税額への2割加算の適用等、適用期限を2年延長します。

4 消費税
課税売上割合に準ずる割合の適用開始時期の見直し
課税期間の末日までに「課税売上割合に準ずる割合」の適用申請書を提出すれば、翌日以後1ヶ月を経過する日までに税務署長の承認を受けることを条件に、申請承認書を提出した日の属する課税期間から適用されます。

5 納税環境整備
税務関係書類における押印義務の見直し
税務署長等に提出する国税関係書類において、実印・印鑑証明書を求めている手続等を除き、押印義務を廃止します。

 


令和2年度税制改正

1 法人税
電気供給業に係る法人事業税の課税方式の見直し
資本金1億円以下の普通法人等にあっては、収入割額及び所得割額の合算額によって、それぞれ課税されます。
令和2年度から適用されます。

2 所得税
(1)低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除の創設
保有期間5年超、譲渡価格が500万円以下等の要件を満たす低未利用地の譲渡所得に100万円の特別控除が創設されます。
令和2年7月1日から令和4年12月31日までの間に譲渡を行った場合に適用されます。

(2)未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し
未婚のひとり親に寡婦(夫)控除が適用され、現行の寡婦(夫)控除の見直し
令和2年分の所得税から適用されます。

(3)国外居住親族に係る扶養控除の見直し
扶養控除の対象者から、日本国外に居住する親族のうち、送金関係書類でその送金額が38万円以上等ある場合を除き、30歳以上70歳未満の者が除外されます。
令和5年分の所得税から適用されます。

(4)納税地の異動があった場合の振替納税手続の簡素化
個人が提出する納税地の異動届出書等に、移動後も従前の金融機関の口座から振替納税を行う旨を記載したときは、移動後においても引き続き振替納税が継続されます。

3 消費税
居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の見直し
令和2年10月1日以後に行う居住用賃貸建物の仕入れについて、仕入税額控除の適用を認めないこととされました。


国税通則法 抜粋

税務調査に係る国税通則法

(調査の事前通知)
第74条の9第1項
税務署長等は、当該職員に納税義務者に対し実地調査を行なわせる場合には、あらかじめ、当該納税義務者(税務代理人を含む)に対し、その旨を通知する。

(事前通知を要しない場合)
第74条の10
前条第1項の規定にかかわらず、税務署長が、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合には、事前通知を要しない。

(調査の終了の際の手続)
第74条の11第1項
税務署長等は、更正決定等をすべきと認められない場合には、納税義務者に対し、その時点において更正決定等をすべきと認められない旨を書面により通知する。

同法2項
更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、納税義務者に対し、調査結果の内容を説明する。

同法3項
前項の規定による説明をする場合において、当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。

参考
理由附記の根拠法令

・ 青色申告者に対する更正 法人税法130条、所得税法155条
・ 白色申告者に対する更正 行政手続法第14条
・ 加算税の賦課決定 行政手続法第14条
・ 申請関係が拒否された場合 行政手続法第8条